昭和特撮を支えた名キャラクターミラーマンが
木下造形により端正なスタイルで蘇る
●「キャラクターのイメージを損なわずに、造形物として見映えの良い補正ができる」という木下隆志の造形スタイルが、わかりやすく発揮された作品がこのミラーマン彫像です。ミラーマンは同じ円谷作品であるウルトラマン(初代)の端正なスーツと比べると複雑な面の構成故に大きく見えるマスクや、スチール撮影時の広角レンズの歪みなどさまざまな要因により、造形的な魅力が正当に理解されていないキャラクターといえます。木下隆志はそういったイメージを払拭し、劇中に登場するミラーマンを観察し、正しい姿を捕らえて造形しています。スタイリッシュなミラーマン彫像は、みだりにリファインしたのではなく、オリジナルをリスペクトした上での微妙な補正技能で成り立っているのです。
●フィギュアの域を超えた鑑賞用リアル彫像。
●マスク形状は実物プロップを写実的に検証し再現。
●ポリストーン素材では不可能とされた実物通りの目の表現を実現。
●プロポーションは実物のイメージを損なわない微妙なアレンジを加えてリアルに再現。
●スーツの質感は造形だけでなく塗装も実物の表現を徹底追求。
●しっかりと固定できるコールドキャスト製専用台座付き。
写実主義ではない究極のリアリズム表現
木下隆志が魅せるキャラクター造形の真骨頂
木下隆志は実際の目で見て脳が認知する網膜像ではなく、心の中で脳が抱くイメージ像を造形で具現化できる類い稀な造形作家である。
モチーフの単なるコピー表現ではなく、人々が頭の中で作り上げる感覚的イメージを突き詰める表現により、“実物よりも本物っぽい”と感じる造形物を産み出すことができるのだ。
その手法はモチーフを写実的にリサーチした上で、頭身など体型を成すアウトラインのバランス変更、仕上がり時の見映えを考慮したディテール再現を加減する。
この一歩進んだリアリズム造形により、“誰もが心に思い描くキャラクターのイメージ”を正確に立体表現できる唯一無二の造形作家であるといえる。
※ミラーマン
●1971年に円谷プロが制作しフジテレビ系列で放送された特撮ヒーローシリーズ。それまでのウルトラシリーズなどの制作で特撮技術に磨きが掛かっている為、映像クオリティが高い。またドラマパートもウルトラシリーズの中で名作と名高い『ウルトラセブン』を彷彿させる大人も鑑賞できる完成度の高さも相まって、ファンからは根強い支持を受けている作品である。
© 円谷プロ