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         ■アーティスト解説 text
         by Masahiko ASANO 
          
          現在弱冠19歳という“たじまあきひろ”の造形作品を最初に見せられたとき、「ああ、ガレージキットシーンもここまで成長してきたのか……」という、ある種のジェラシーと清々しい達成感が入り交じったような、非常に複雑な感情を抱いたものだ。その感覚をサッカーにたとえるならば、「世界ユース選手権で伸び伸びとプレイするU20(アンダー・トウェンティ=20歳未満)日本代表イレブンを眺めたときの、“ドーハの悲劇”を体験した元A代表プレイヤーの心境」といったところだろうか。 
          たじまあきひろ=希代の天才、ということではない。そのセンスや表現力は確かに頭ひとつ抜きん出てはいるが、たじまクラスのガレージキット作家ならば、おそらく日本に50人ほどは存在するだろう。では、たじま造形のどこに嫉妬や感慨を覚えたのかといえば、ガレージキット的な造形表現をローティーン時代から吸収し続けた結果から生まれる、“造形(に対する)意識の質の高さ”という点だ。先のサッカー話を再び引き合いに出すと――少年時代からワールドクラスのプレイをイメージしてきたU20世代のプレイヤーたちは、憶すことなく「これぐらいはできて当然」という意識の元に、世界を相手に互角以上の戦いを見せる。これと同じで、たじまは奢りや気負いを抱くことなく、平常心のまま「これぐらいは作れるはず」という意識の元にハイレベルな造形作品を生み出していく。そして、現在たじまが体言してみせるこの“U20感覚”をまとう10代のガレージキット作家は、この先も続々と登場してくるのだろう。 
          その“ガレージキット業界におけるU20感覚”の旗頭として、たじまあきひろには現A代表(トップクラスに腰を据える原型師たち)を蹴散らす勢いで精進していってほしいと思う。 
         
         
            
               
                   
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                   プロフィール 
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                   1980年11月5日生まれ。名前のひらがな表記は、本人のリスペクトするマンガ家“ふくやまけいこ”からの影響。4歳のときにガンプラのジオングを作ったのが模型との出会いとなり、10歳のときにマックスファクトリーの『ガイバー』シリーズを購入、ガレージキットのすばらしさに感動する。14歳になるとファンドを手にしてフィギュアのフルスクラッチビルドに初挑戦(『七つの海のティコ』のナナミを製作)、中学卒業後は代々木アニメーション学院のSFX特撮科に入学し、スカルピーを使ったクリーチャーを多数製作して造形技術の基礎を固める。'97〜'99年までは原型師あげたゆきをのアシスタントを務めつつ、'98年夏のワンフェスからは“星の島工房”名義でディーラー参加(ちなみに、ワンフェスへの初参加は'95年、弱冠15歳のとき)。現在は模型店でアルバイトをしつつ、今後の活動に向け造形を独学中。 
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                  ■たじまあきひろからのコメント 
                   このたび『ワンダーショウケース』にお声を掛けていただきました、「ふくやまけいこバカ一代」のたじまあきひろです。ガレージキットコンベンションには“星の島工房”というディーラー名で顔を出したり出さなかったりしていましたが、2000年のワンフェスからは「熱心なふくやま者」として本格的に活動しようと考えています。 
                   将来的にはオールマイティになんでもこなせるようになりたいと思っていますが、この先2〜3年のあいだはふくやまけいこモノ等を作っていくなかでフィギュアの「やわらかさ」を追及していきたいという気持ちです。また、ねんねこキーホルダーのような、“原型製作者による手作り作品”みたいなバカなことも年1回ぐらいのペースで続けていけないかな……と夢見ています(注/'98年夏のワンフェスにて“星の島工房”名義で販売されたねんねこキーホルダーは、一品一品すべてをたじま氏自らが着彩、採算度外視の低価格で販売した、アマチュアリズム溢れる作品でした)。 
                   今後、ガレージキットの原型製作だけで食べていけるようなプロの原型師になれるかどうかはわかりませんが、今回の『ワンダーショウケース』をスタートラインとして、そうした夢に対し一歩でも近付けるように努力していきたいと思っています。 
                   
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         ■『ワンダーショウケース』販売作品解説 
          
         
            
               
                   
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                   江の島るる 
                   from
                  『星の島のるるちゃん』ノンスケール[15cmサイズ]レジンキャストキット(胸像) 
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                   ねんねこ姫 
                  from
                  『まぼろし谷のねんねこ姫』ノンスケール[8cmサイズ]レジンキャストキット 
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                   ■商品販売価格 
                  (3作品セット販売) 
                  一般小売価格/1万2000円(税別) 
                  (C)ふくやまけいこ・講談社 
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                   あんず 
                  from 『グラニュー島!
                  大冒険』ノンスケール[12cmサイズ]/レジンキャストキット 
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          たじま作品は上記3点のキットをひとつにパッケージングした、“マキシシングル形態”での商品となります。そのすべてが(株)講談社発行『なかよし』に掲載された、ふくやまけいこ女史の描くコミック作品からの立体化。江の島るる、ねんねこ姫は、かつてたじま氏がアマチュアディーラーとして販売した作品の再販で、あんずは『ワンダーショウケース』用に作り起こされた新作です。 
          
         
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